簿記3級平積みテキスト比較
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2020-02-25
テキスト比較を説明した動画
はじめに
テキスト改訂がだいたい出そろった2月下旬,丸の内オアゾの丸善・丸の内本店にテキストを見に行ってきました。本の陳列にはいくつかパターンがあり,①平積み,②面陳列,③棚差しが主なパターンのようです。
①平積みは表紙を上向に置く方法です。販売実績があったり売上が期待できたりする本が平積みとして配置されます。書店によってはスペースの関係で平積みがないところもありますが,さすがは丸善本店,簿記テキストだけで棚が2列もありました。出版社との関係で平積みになったり,良いテキストだけれども棚差しになったりすることもあるかもしれませんが,今回は平積みをメインとして取り上げていきます。
2020年2月下旬時点で平積みだった簿記3級テキストは次の通りです。
1.『スッキリわかる 日商簿記3級 第11版』 TAC出版 ISBN:9784813285915
2.『みんなが欲しかった!簿記の教科書 日商3級 商業簿記 第8版』 TAC出版 ISBN:9784813285724
3.『合格テキスト 日商簿記3級 Ver.11.0』 TAC出版 ISBN:9784813285564
4.『検定簿記講義3級商業簿記』 中央経済社 ISBN:9784502825637
5.『簿記教科書 パブロフ流でみんな合格 日商簿記3級 テキスト&問題集 第5版』 翔泳社 ISBN:9784798163987
番外編1:平積みではないが含めておきたいテキスト
6.『大原で合格る日商簿記3級 第2版』 中央経済社 ISBN:9784502301117
番外編2:平積みだが,テキストではない
7.『滝澤ななみの講義LIVE!スカッと!解ける日商簿記3級』 中央経済社 ISBN:9784502320811
平積みテキストだけでいくと5冊が候補ですが,2冊特別に追加しています。大原は大原簿記専門学校を運営しているため,知名度はTACと同じくらい有名です。その大原が出したテキストは含めた方が良いと思ったためです。ちなみに陳列は棚差しでした。次の『スカッと!解ける』ですが,中身は初学者向けではなく,基本内容が終わった人向けの本です。見た目はテキストに見えるので,注意のために取り上げています。
簿記3級テキストの選び方を参考に,それぞれの評価をしてみました。
それぞれの特徴を見ていきましょう。なお,おすすめテキスト3冊は以前と同じ説明をすることがあります。
1.『スッキリわかる 日商簿記3級 第11版』
こんな人におすすめ!
勉強をやり続けることが一番大切です。そのために多少のことは気にしないというのも一理あります。迷ったらコレというだけの実績と内容であることは間違いありません。
特徴
販売実績1位の定番テキストです。かわいい猫のイラストを使ってわかりやすく説明されています。練習問題が巻末にまとめられており,別に問題集を買う必要がありません。分かりやすさ重視のためか,専門用語などの説明が省かれている点がいくつかります。
2.『みんなが欲しかった!簿記の教科書 日商3級 商業簿記 第8版』
こんな人におすすめ!
とにかく参考書みたいなテキストや,カラフルなテキストが好みという人に適しています。また,黒板に書いたように解説されているので,自分でノートにまとめたいという人にも向いています。
特徴
なんといってもカラフル度合いは全テキストの中でも群を抜いてます。これで1,100円(税込)ですから,出版社は原価的に大丈夫なのかと心配したくなるほど色鮮やかです。意味があってカラフルに色分けされているのですが,4色以上になると色の意味を忘れる人が多いと思います。著者が同じかつ同じTAC出版から出ているので,内容の説明は『スッキリわかる』と大差ありません。余談ですが,巻末の広告はカラーにできなかったのでしょうか…。
3.『合格テキスト 日商簿記3級 Ver.11.0』
こんな人におすすめ!
内容が網羅されたテキストで挫折せずにしっかり勉強するぞ!という意気込みであれば,安心しておすすめできるテキストです。
特徴
TACという専門学校で実際に使用されているテキストが市販されたものです。洗練されているのですが,読んでわかるように特化されていません。テキストがB5サイズになっており,他と比べて大きいです。勉強スタイルを想像してから買いましょう。また,価格が2,200円(税込)と高いことがつらいです。
4.『検定簿記講義3級商業簿記』
こんな人におすすめ!
しっかりとした説明が書かれているテキストがほしいという人,テキストにお金をかけたくない人におすすめします。
特徴
「日商簿記検定に最も近いテキスト」という名目のもと,初版が1956年と長い歴史があります。執筆者が大学の先生ということもあり,書かれている内容に絶大な信頼があります。価格は880円(税込)と最も安いテキストの一つです。最新過去問が3回分ついていることも良い点です。一方で文字の多さもあり,初学者は全て独学でできるだろうかと不安になるかもしれません。価格との兼ね合いかもしれませんが,レイアウトがやや詰まっています。
5.『簿記教科書 パブロフ流でみんな合格 日商簿記3級 テキスト&問題集 第5版』
こんな人におすすめ!
マンガでわかる〇〇といった本が好みの人は,説明がすんなり頭に入ってくると思います。イラストで勉強すると記憶にも残りやすいので,勉強がはかどります。
特徴
すべての基礎内容に4コマのイラストがついています。まだ現実に商品売買をやったことのない学生さんにはイメージしやすい内容となっています。イラストに気をとられがちですが,修繕費や資本的支出の説明はしっかりと含まれています。財産法や損益法といった,難しい用語はでてきません。簿記の超重要な概念を「ホームポジション」という独特の用語で表現します。他のテキストでは使われないオリジナルの用語ですので,これを受け入れられるかどうかが好みの分かれ目です。
6.『大原で合格る日商簿記3級 第2版』
こんな人におすすめ!
コンパクトかつシンプルなテキストが好きな人はこのテキストが良いでしょう。ただし,特徴を理解した上で購入してください。
特徴
簿記の専門学校かつ合格実績のある大原が出版しているテキストです。TACとは異なり,大原は中の授業で採用しているテキストを市販はしていません。そのテキストを市販向けにアレンジしたものがこの本です。評価にもある通り,索引がないことが最大の欠点です(ちなみに専門学校で使われているテキストに索引はあります)。修繕費の説明は含まれており,内容もわかりやすいので,テキストとしては良いものです。
7.『滝澤ななみの講義LIVE!スカッと!解ける日商簿記3級』
これは本の表紙にも書いてありますが,勉強が一通り終えた人が実践問題を解くまでの間に買う本という位置づけです。今回の比較は初学者向けのテキストがメインなので,対象からは外しておきます。中身はフルカラーでしっかり説明しているため,最初のテキストとしては良いと勘違いする人が出るといけませんので,取り上げておきました。
いかがでしたか?自身に合ったテキストを見つけてくださいね!