簿記3級テキストの選び方

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2020-02-24

テキストの選び方は平積みされているテキストの中から選ぶことです。

私のおすすめは次の3冊です

『スッキリわかる 日商簿記3級 第11版』 TAC出版 ISBN:9784813285915

『合格テキスト 日商簿記3級 Ver.11.0』 TAC出版 ISBN:9784813285564

『検定簿記講義3級商業簿記』 中央経済社 ISBN:9784502825637


はじめに

前提として,完璧なテキストは存在しないことを覚えていてください。テキストが合う合わないというのは人によって異なります。コンパクトなテキストは,持ち運びしやすい一方で,内容が薄くなりがちです。逆に,内容がしっかりしているテキストは大きくなる。イラストを入れればさらにページ数が必要になるのです。ぜひ一度書店に足を運び,実物を手に取って見てください。


テキストの選び方

数あるテキストの中から,どうやって選ぶのか。大切なポイントは3つです!


最新の試験範囲に対応しているか
    消費税の問題が10%になっていること,理論用語は必要か?

索引から用語が探しやすいか
    索引から「前払金」が探せること

練習問題がついているか
    学習内容が確認できる問題がついていること


これらを順番に説明していきます。

簿記3級に合格するぞ!と決めたら早速テキストを購入しよう。多くの人がテキストについて調べることになります。インターネットや書店で簿記のテキストを探すと出版されている数に驚き戸惑ったことでしょう。

そう,なんせ種類が多いのです。同じ簿記3級を取り扱うのに,なんでこんなにも多いのだろうか。どれを見ても,良し悪しがわからない・・・。

今から始める簿記のテキストを,本人が何も知らずに選べというのは酷です。そこで,わかる人に聞いてみたり,口コミを検索したりしてみると,いくつかのテキストにたどり着くことになります。ネット上で「簿記3級  おすすめ  テキスト」等で調べてみても,だいたい似たり寄ったりの結果です。これらのテキストはそれだけ信頼があるということです。

最新の試験範囲に対応しているか(その1)

※(その2:理論用語)は終わりにあります

見るべき項目はズバリ,消費税の問題で税率が10%になっているかです!
(念のため言いますが,テキスト本体の価格ではないですよ)
おすすめテキストは全て10%になっています。

実は日商簿記検定の1~3級の試験範囲は頻繁に変更されます。特に2016年度からは毎年変わり,その都度テキストが改訂されました。本の改訂というのは膨大な作業とお金がかかります。しっかりと最新の範囲に改訂されているテキストを選ぶ方が良いことは言うまでもありません。

簿記3級は2019年4月検定から新範囲が適用になりました。これに伴い,2019年2,3月に改訂を行ったテキストがほとんどです。そして,2019年10月に試験範囲とは関係のない改訂の必要性が生じたのです。ご存知の通り,消費税が8%から10%に引き上げられたことですね。これまで100円(税抜)が108円(税込)という問題が,110円(税込)に修正しなければなりません。改訂版を出した半年後に,軽微な修正を迫られることは出版社にとって痛手となったことでしょう。

税率10%への改訂を行うと,テキストとしての信頼性を高めることになります。10%への改訂を見送ったテキストがいくつかあったことは事実です。対応しているかどうかは,奥付の出版年月日が2019年10月1日以降になっているかも目安になります。奥付というのは,本の最後のページにある,その本に関する情報が書いてあるページのことです。


索引から用語が探しやすいか

索引が使いにくくなければ問題なし

これから勉強を始める人はイメージにくいと思いますが,簿記は勉強中にテキストで内容を調べることがあります(習ったことを忘れたため)。その際,その用語を索引(本の後ろについている,あ~ろの仮名順に並んだリスト)から探すことになります。この索引がテキストによって使いやすさが異なります。買おうとしているテキストで次のことを試してみてください。

簿記3級の中で,「前払金」(まえばらいきん)が「資産」である,と勉強する場面があります。例えば,この「資産」であることを忘れてしまうと,「前払金って何だったけな?」となります。では,テキストの索引から「前払金」を探し,「資産」であることを確認してみましょう。ここで大切なことは,使いにくくなければ問題ない,ということです。

おすすめテキストの索引
3冊とも問題なく使えるのですが,TAC出版の2冊は,TACの広告が入っているため,索引にたどり着くのが少し遅れます。さらに,『スッキリわかる』は解答用紙の冊子があるため,3冊の中では探しにくい部類になります。付箋などを張ってすぐに探せるようにしましょう。


練習問題がついているか

学習内容が確認できる問題があるテキストを選ぼう

簿記3級に合格するためには,問題を解くことが必須です。多くのテキストは例題が答え付きで記載されています。その後,内容を理解しているか自分で確かめることができる問題があると良いでしょう。答えが視界に入る例題だけでは分かったかどうかが曖昧になりがちです。

練習問題の記載パターンですが,①例題のすぐ後(都度),②それぞれの章の終わり(章末),③本の最後にまとめて(巻末)の3パターンに分けられます。

『スッキリわかる』  ③巻末記載  例題の数値を変えた基本問題と少し難しい応用問題

『合格テキスト』  ①都度記載  例題の数値を変えた基本問題

『検定簿記講義』  ①都度記載  基本と応用の間の問題


最新の試験範囲に対応しているか(その2)

資本的支出の説明があるか?それは必要か?

2020年2月23日(日)に第154回日商簿記検定3級が実施されました。この第4問に用語の穴埋めが出題され,そのうちの一つに「資本的支出」や「損益法」を答えるものがありました。これらの用語ですが,簿記3級初学者にとっては専門用語なのです。「資本的支出」は「修繕費」の内容で一緒に説明されることが多いです。おすすめテキストではどうでしょうか。索引と説明の有無については以下の通りです。


『スッキリわかる』
「修繕費」の説明自体がありません。そのため,「資本的支出」という用語が登場しません。
「損益法」も同様に説明がありませんでした。


『合格テキスト』
「修繕費」の索引・説明ともにあります。「資本的支出」の説明もありますが,索引にはなく,用語は細字で書かれています。
「損益法」の索引・説明ともにあります。用語は赤字見出しで取り上げられています。


『検定簿記講義』
「修繕費」と「資本的支出」の索引・説明ともにあります。「資本的支出」の用語は太字で書かれています。
「損益法」の索引・説明ともにあり,用語は太字で書かれています。


このようにテキストによって差が出ています。用語の穴埋めに関しては,分かるものだけで良いという考えもありますが,どうせテキストを買うなら,ちゃんと説明があるものが欲しいというのが一般的ではないでしょうか。


まとめ

『スッキリわかる』,『合格テキスト』,『検定簿記講義』の中から好みのテキストを選べば良いです。ただし,『スッキリわかる』は専門用語そのものがテキストに載っていないことがあるので注意してください。それでもその分かりやすさが人気です。他の2冊はイラストが少ない分,教科書といったイメージが強いです。勉強を続けていくことが大切なので,最後まで頑張れるものを選びましょう。